無色的緑色

性格類型のマイナーな資料庫。中国語と英語。

Jungus――中国生まれの64タイプ

既存のユング系理論を下敷きにした64タイプ理論が中国で提唱されていた。

O-B尺度とA-H尺度が増えている。

 

 

これは理論提唱者による記事で、最もまとまっているので訳してみる。

zhuanlan.zhihu.com

(2022年3月21日アクセス)

 

よく読むとこの理論にも当然飛躍があったり批判点が見つかったりするが、その辺の検討は気が向いた時に。

 

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理論の概観

本文で検討する内容はJungus(16機能+64タイプ)の理論の枠組みに基づく機能とタイプの記述である。これはmbti理論ではなく、ユングの8要素の理論ではなく、ましてやソシオニクスなどユング8要素の派生理論ではない。これはJungus自身が個体の違いについて分析し、まとめたものである。これはユングとニスベットの研究成果に基づくものだが、両者のうちの任意の一つというわけではない。
われわれは再度、われわれの理論的基礎を次のように明確にする。


1.われわれは、全ての人が8要素の心理機能、つまり知覚機能(情報収集に用いる。内訳は外向的感覚Se、内向的感覚Si、外向的直観Ne、内向的直観Ni)と判断機能(認知の形成と決定を下すことに用いる。内訳は外向的思考Te、内向的思考Ti、外向的感情Fe、内向的感情Fi)を備えていると考える。


2.知覚機能については、O(主体=原注、Object=訳注)とB(背景=原注、Background=訳注)の選好の違いがある。O-B(主体-背景の選好)は知覚機能をより一層細分化したものである。Bを指向する者の知覚は背景や全体に注目するものであり、Oを指向する者は焦点や局部に注目する。この「全体」「局部」はNとSの違いではない。したがって、全ての知覚機能にはO形態(主体を指向)とB形態(背景を指向)という2つの形態がある。したがって、計8つの知覚機能がある。統計データによると、東洋人はB(背景)を指向する者が多数を占め、西洋人はO(主体)を指向する者が多数を占める。


3.判断機能については、A(分析=原注、Analytic=訳注)とH(全体=原注、holistic=訳注)の選好の違いがある。Hを指向する者は場に適応する傾向にあり、Aを指向する者は自身の原則を堅持する傾向にある。この「場」「原則」も、TとFの違いではない。したがって、全ての知覚機能(判断機能の誤りと思われる=訳注)にはA形態(分析を指向)とH形態(全体を指向)という2つの形態がある。したがって、計8つの判断機能がある。統計データによると、東洋人はH(全体)を指向する者が多数を占め、西洋人はA(分析)を指向する者が多数を占める。


4.全ての人の16機能は人の成長過程において、相対的な強さには変化が起こることがある。特に機能のO-BとA-Hの指向は、外界の環境(特に文化的環境)によって相当大きな影響を受けることがある。


5.全ての人の性格類型はその機能と相対的は強さの組み合わせによって成立する。類型を判別する方法は原型法である。16の基礎的な性格原型があると仮定する。彼らには固定の主機能と補助機能が備わっており、その機能の並びはmbtiの基本的仮説に合致する(例えばINTPはTiNe、ESFJはFeSi)。そして、この2つの機能にはそれぞれOBとHAの2つの形態があり、これにより16×4=64の高次の性格原型が構成される(例えばINTPOAはTi-A/Ne-O、ESFJBHはFe-H/Si-B)。全ての性格類型は、測定された認知機能の並びと原型の比較によって得られる。

なぜNとS、TとFの違いではないのかについては、特にNとSについては別記事に説明があった。

例えば同じNiでも、大局を掴みたがる傾向のNiと、深い洞察に至る傾向のNiがある。Sが「局部」と同義でないというのも、例えばSeユーザーならば場全体の今の状況を捉えて行動するのに慣れている人がいることが挙げられる。

 

mbtiのスタンスへの批判

mbtiに対する現状認識が変な点もあるので、中国のmbti界隈への批判と取る方が妥当か。

 

1.性格類型は先天的なものであり、全ての人はある類型ということが決まっている。
受け入れない。仮説4.を参考にしてほしい。事実、仮説4は性格心理学と文化心理学の大量の文献によって支持されている。例えば、mbtiにおける前4文字の選好は、いずれもビッグファイブにおける外向性、開放性、誠実性、協調性と大いに相関している(したがってほぼ同一の尺度とみなすことができる)。またこの尺度の遺伝性(つまりいわゆる「先天」の部分)はおよそ10%-60%とさまざまであり、残りの部分はすなわち後天的な所で、その変化によって性格類型の変化がもたらされる可能性が大きい。文化の選好はなおさら言うまでもない。ある人が中国で生まれ、結果的に2歳で米国に行ったとしたら、OBとHAの二つの尺度は自然と文化的影響を受けることになる。

 

2.性格類型は唯一の心理機能の並びに対応する。例えばINTPは必然的にTi,Ne,Si,Fe,Te,Ni,Se,Fi(いわゆる8機能が8つの役割に対応するという理論)(現在のmbtiはこのような心理機能の並びを採用していない=訳注)である。
受け入れない。仮説1によると、全ての人は全ての心理機能を持つ(mbtiも全ての人が全ての心理機能を持ち、使っているという立場=訳注)。この結論もまた、Jungusの大量の調査データにより確認されている。圧倒的多数の人の並びの形態と標準的な並びは大きく異なる。

 

3.反対の機能間(TiとFi,SiとNi,TeとFe,SeとNe)は互いに反発する。
受け入れない。データによると、TiとFiの関係は不確定である(p>0.1)。従来の理論に基づき、TiとFiは理性と感情であり、拮抗することはあるものの、TiとFiは自己認識性を同じように備えており、両者は相互補完することが多い。他の3ペアについては、データには確かに明らかな負の相関がある。

 

4.同一の機能の両面(SeとSi、NeとNi、TeとTi、FeとFi)は互いに反発する。
受け入れない。同じように、例えばNiとNe、TiとTeはいずれも高い正の相関がある(r=0.4前後、p<0.001)。現実において、同一の機能が内外両面で連携するという方式は至る所にある。

(5-7もあるが略、あとでやる)

 

主機能と補助機能は固定だと言っていた。第3機能以降は人によりランダムとするということだろうか?

ところで批判2は現在のmbti公式からすれば的外れの批判。しかしこのモデルの提唱者は調べてみると見つかる。Beebeという人。

 

OBとHAについての一層の説明

以上はmbtiの旧理論に関連する内容だった。以下は新理論を理解する上でのいくつかのtipsである。


1.同じ機能の両面には強弱があり、その人の気質と緊密に関連している。そのうち、知覚機能の両面(OB)はより互いに促進・協力しやすく、一方で判断機能の両面(HA)は互いに協力する時があるのみならず、互いに衝突する時もある。特にFi-AとFi-Hは衝突しやすく、Ti-AとTi-Hがそれに次ぐ。


2.OやAを指向する者は前半4文字の気質を示す傾向がより強く、より偏る。一方、BやHを指向する者はさまざまな場でさまざまな気質を示しやすく、したがって傾向が明確でなく、誤認することが多い


3.OB、HAの選好と第3機能。この面においてわれわれは、幾らかの経験的パターンがある。まず、標準的な並びに合致している確率は確かにより大きく、例えば4種類のINTJはいずれもFiを発展させる可能性がある。しかし、後半の2文字も第3機能と幾らかの相互作用がある。INTJOHとINTJBAはSeを発展させやすく、INTJOAはFeを発展させやすい。一方、INTJBHはSiを発展させやすい。


4.OAとHAの選好と反対の機能の測定。いわゆる反対の機能は、その類型の主機能と補助機能のeiが反対となる機能である。例えばINTJのNeとTi、あるいはISTPのSiとTeである。一般的には次のような対応がある。

Fe-AがFe-Hより顕著に高いFJは、同時に強いFiを持ちやすい。Fi-HがFi-Aより顕著に高いFPは、同時に強いFeを持ちやすい。
Te-AがTe-Hより顕著に高いTJは、同時に高いTiを持ちやすい。Ti-HがTi-Aより顕著に高いTPは、同時に高いTeを持ちやすい。
Ne-OがNe-Bより顕著に高いNPは、同時に高いNiを持ちやすい。Ni-OがNi-Bより顕著に高いNJは、同時に高いNeを持ちやすい。
Se-BがSe-Oより顕著に高いSPは、同時に高いSiを持ちやすい。Si-BがSi-Oより顕著に高いSJは、同時に高いSeを持ちやすい。(ここではSとNが反対なのに注意してほしい。これは経験的パターンである。皆さんは選択的に受け入れればよい)


例:INFPOAとINTPOAは形而上に注目することが多く、したがってNiが高く測定される可能性がある。一方、ISTJBHとISFJBHは適応能力が強いため、SPと間違えられやすい。


(注)本文の括弧内は注釈がない限り原注。